メニュー価格
リヒトを開業してから半年余り。
開業時から予期していたとは言え、新型コロナ禍の影響を受けて辛抱の毎日を過ごしています。
来店客が少ない中、今週来店頂いてカウンター越しにいろいろとお話しさせて頂いた常連の男性客から「普通は店を開業したらその時に投資した額を回収しようとしたメニュー価格になりますが、この店の世間離れした価格はいいですね」と呆れられているのか褒められているのか分からないコメントを頂き、また別の女性客からは「マスターの世代の人は毎日が日曜で趣味や道楽に明け暮れている人が多いと思うけど、どうしてマスターは東京からこんなところまで来てこんな苦行をしているの?儲けようとしてやってるような値段にも見えないけれど・・・」と、そもそも論のような質問を投げかけられて・・・(汗)
改めて何故自分が東京の商社で定年制もない配置にいながら脱サラしてここまで来て何をしようとしているか問い直してみましたが、、、
確かに金儲けに来た訳でもなく、開業前の事業計画で予想された利益より商社勤務を続けていた方が遥かに収入は多いしまだ10年ぐらいはやれたはず・・・妻からも「あなたの人生の中で最もコスパの悪いことをしているね」とからかわれる始末(笑)
結論的には「やってみたかった」としか答えのないリヒトの開業。
最初から赤字を出すようでは営業本部長の職に就いていた面子もないのでそれなりに努力はしていますが、まずは「日田の人に受け入れられる価格、喜んで頂ける価格」があって、それで黒字を出そうとすると減価率を下げるという手法になるけれど変に妥協はしたくないので恥ずかしくない物を仕入れて提供する・・・そうなると結局利益率を下げるしかないということに繋がり、それが「世間離れした価格」ということ?
店も居抜きの店舗開業をした訳でもなく基礎工事から手掛けたので家を1軒建てるぐらいの工事規模になってしまい、しかし言われたようにその元を回収するという発想が自分にはないなと・・・
ビジネスマンとしてはこの起業はほぼ失格ですね(汗)
ただ、本人は「苦行」とは全く感じておらず、新しい出会い、様々な人との会話などで楽しく感じてやっています。
開業前にかつての後輩が愛知県で大人気のカフェを経営していたので「カフェの運営のポイントを教えて欲しい」とお願いしたところ、「妻も自分もお客さんに喜んでもらえればいいと思ってやっているだけなので収支とかアドバイスできることはありません」と回答され、「何だよ・・・」と思いましたが、開業して半年を経て、「結局自分もそういうことなのね」と何となく納得して店を開けています。
そんなことで皆さんに喜んで頂ければ幸いですが、コロナ禍でこのように来店が少ないと喜んで頂くこともできず、こちらも新しい出会いにも恵まれず「やってみたかった」というノリでは済まされない今日この頃ではあります。