開業から1年半

昨年11月に開業1周年のイベントを開いてからあっという間の半年。

これまでを振り返って、、、
コロナと共にの開業だったので「楽だったか?」と言われればトンでもありませんが、自分が40年以上にわたって40回近く訪問した欧米の国々、客として訪れた国内外の多くの飲食店などの経験から、「自分ならこうしたいな」という想いの結果、「人生で一度やってみたかった」という動機で脱サラして東京から移住しての開業だったので、嬉しかったこと、思いがけない多くの出会いなどばかりで充実した1年半でした。コロナが明けたらそれがもっと加速するかもしれないと思うとやってみて良かったという感です。

ただ古風な街並みの中にドアを開いたらヨーロピアンアンティークという自分の想いの店を開いたものの、店が所在する豆田町は江戸時代に天領という幕府の直轄地として栄えた町でその面影を残した街並みが売りの観光地であって、そこにはヨーロピアンアンティークなどは全く無関係ですし、無用の店であることは重々承知しています。
観光客の方は江戸の面影の町を見に来たのであって、ワインもフレンチも場違いでしかありません。ただ、たまたま「ヨーロッパが好き」「海外に行ってみたい」「海外に赴任していた」という方々にとっては「江戸の古風な町を見に来たのに思いがけないものが。。。」ということでドアを開いていただいてこちらが予想するより大変喜んでお帰りいただくお客様がおられることも事実です。
まさにこの店は食や海外に関心のない方にとっては「どうでもいい店」です。
ビジネスとしてみた場合、日田の豆田で大きな収益を上げるのは難しいコンセプトの店ですが、「日田にも銀座、表参道に負けないこういう店がある」が店長としての狙いですので、その路線で赤字にならずにやっていければというところです。(留守宅のある東京には時折帰省しますが、その度に勝手にライバル心を持って銀座、青山、表参道をうろついて参考にしています(爆))

リヒトに来店されたことのない方に店を少し説明しておきますと、焼酎も日本酒もありません。米も刺身もありません。
飲み物はワインとスコッチ、ドイツビール、ノンアルコールは好評をいただいている深煎りのコーヒー、ドイツの果物と花と野菜のお茶、食事は本格的ドイツソーセージとイタリアンになりますが各種パスタ、最近ではコンフィ、リエット、キッシュといったフレンチメニューを加え、さらにまもなくガレット(蕎麦粉のクレープ)を追加しようとしています。それに向けて店内のBGMはシャンソンです。(笑)
要するに洋食屋、ワインバー、ダイニングバーといった表現の当てはまる店です。
日田にフレンチメニューを提供している店はありませんし、ワインバーもありませんが、唯一の店として味も恥ずかしくない出来栄えと自己評価しています。
和の街である日田では異色感満載の店ですが、とある店舗の代表に「日田でフレンチは無理だ」とか、飲食店の開業コンサルタントのお客様に「この店への投資は日田では回収は無理でしょ」とコメントされたことがあり、「そういう店が1軒ぐらいあっても・・・」と思っていましたが、先輩諸氏の見立てどおりビジネスとしては難しいのかもしれません。(ビジネスで成功しようとして始めたわけではないのでそれは気にはしていないのですが、赤字が続くようでは維持が難しいのは当然です)

開業から1年間ゼロからお手伝いいただいたシェフはその腕前を買われて長野県にヘッドハンティングされてしまいましたが、彼からは「この店が流行らなかったら『残念ながら。。』と諦めがつく意味で日田の飲食店の試金石」と意味不明のコメントをもらっていました。(笑)

ということで、こんな店ですがこうしたコンセプトを気に入っていただける一握りの方に支えられている店です。

開業から1年半を経て、こんな感想を持ちつつ、その一握りの方々にもっと喜んでいただこうと日夜奮闘しています。